東京の夏。夕暮れの風に誘われ、夜空を彩る大輪の花を待つ、あの高揚感。
あなたにとって、最高の「夏の思い出」をくれる花火大会はどこですか?
多くの人が「関東の二大花火」として迷わずその名を挙げるのが、「隅田川」と「江戸川」。
しかし、それに続く「三つ目」の席は、実は長年、明確な答えがないままなのです。
本記事では、この「空席の三つ目の椅子」を巡る熱い議論に、Mitorieが独自の視点で終止符を打ちます。
首都圏を代表する候補者たちを比較・考察し、私たちが考える「第三の関東三大花火」を、ここに再定義したいと思います。
「関東三大花火大会」の謎
「日本三大花火大会」が、その歴史と格式から比較的コンセンサスが得られているのに対し、「関東三大花火大会」の定義は、時代と共に揺れ動いてきました。
しかし、その中でも、以下の二つの花火大会は、その圧倒的な存在感から、ほぼ不動の地位を築いていると言えるでしょう。
- 隅田川花火大会: 江戸時代から続く、日本最古の歴史と格式を誇る。
- 江戸川区花火大会: 首都圏最大級の打ち上げ数を誇る、スケールの象徴。
問題は、この二大巨頭に並び立つ「第三の雄」です。
いたばし、足立、調布…
有力な候補がひしめく中、Mitorieは独自の基準でその一席にふさわしい大会を選び出します。
不動の二大巨頭
まずは、誰もが認める二つの偉大な花火大会の魅力から確認していきましょう。
① 隅田川花火大会:伝統と格式、江戸の粋を受け継ぐ“元祖”
- 歴史と物語:その起源は、1733年(享保18年)にまで遡ります。当時の大飢饉と疫病の犠牲者を慰霊し、悪疫退散を祈願するため、八代将軍・徳川吉宗が催した「両国の川開き」が始まりです。まさに、日本の花火大会の“元祖”であり、その背景には常に江戸・東京の歴史と人々の祈りがありました。
- 見どころ:東京スカイツリーと高層ビル群という、現代的な夜景を背景に打ち上がる花火は、他にない唯一無二の光景です。伝統的な「鍵屋」と「玉屋」の流れを汲む花火師たちの競演も見どころの一つ。歴史の重みと江戸の粋を感じさせる、格式高い花火大会です。
スペック項目 | 内容 |
開催時期 | 7月最終土曜日 |
主な特徴 | 日本最古の歴史、江戸「両国の川開き」が起源 |
キーワード | 伝統、格式、歴史、競演 |
打ち上げ数 | 約2万発 |
東京都台東区
② 江戸川区花火大会:圧倒的スケールで魅せる“光の壁”
- 歴史と物語:1976年から続く、比較的新しい花火大会ですが、その魅力はなんといっても圧倒的なスケールにあります。江戸川を挟んで千葉県市川市と共同開催されるため、両岸から打ち上がる花火は、夜空を巨大なスクリーンに変えます。
- 見どころ:代名詞となっているのが、オープニングの「5秒間1000発打ち」。BGMと共に一斉に打ち上がる無数の花火は、視界を埋め尽くす“光の壁”となり、見る者を一瞬で非日常の世界へと引き込みます。趣向を凝らした8つのテーマで構成され、最後まで飽きさせないエンターテインメント性の高さが魅力です。
スペック項目 | 内容 |
開催時期 | 8月第一土曜日 |
主な特徴 | 首都圏最大級の打ち上げ数、市川市と共同開催 |
キーワード | スケール、迫力、エンターテインメント |
打ち上げ数 | 約1万4000発 |
東京都江戸川区
三つ目の椅子を巡る有力候補者たち
さて、ここからが本題です。隅田川の「伝統」、江戸川の「スケール」に並び立つべき「第三の価値」とは何でしょうか。有力な候補者たちを比較してみましょう。
候補1:いたばし花火大会
- いたばし花火大会(“破壊力”の巨玉)東京最大、直径36cmの「尺五寸玉」が打ち上げられるのが最大の特徴。都心では味わえない、腹の底まで響き渡る衝撃と、夜空を覆いつくす巨大な花火は、純粋な「破壊力」と「迫力」で観客を圧倒します。
東京都板橋区
候補2:足立花火
- 足立の花火(“開幕宣言”の高密度)東京の主要な大規模花火大会の先陣を切って開催されることが多いのが特徴。約1時間という短い時間に1万5000発もの花火を凝縮して打ち上げる「高密度」なプログラムで、夏の本格的な到来を告げる「開幕宣言」のような役割を担っています。
東京都足立区
候補3:調布“夏”花火
- 調布“夏”花火(“芸術性”のハナビリュージョン)コンピュータ制御によって、花火と音楽を0.03秒単位で完璧にシンクロさせる「ハナビリュージョン」の元祖として知られます。単にBGMを流すのではなく、一発一発の花火がメロディーやリズムと一体となる様は、まさに“光の演奏会”。花火の「芸術性」を極限まで高めた大会です。
東京都調布市
Mitorieが選ぶ「第三の関東三大花火」
どの候補も甲乙つけがたい魅力を持っています。
いたばしの「迫力」
足立の「密度」
調布の「芸術性」
何を求めるかによって、あなたにとっての「三つ目」は変わるのかもしれません。
【Mitorie編集部の視点】
隅田川が「伝統」、江戸川が「スケール」という、花火大会の根源的な価値を代表しているとすれば、第三の雄は、花火の“未来”や“進化”を示す存在であるべきではないでしょうか。
ただ大きく、ただ多く打ち上げるだけではない。花火を、音楽や物語と融合させ、より高度な総合エンターテインメントへと昇華させていく。その流れを決定づけたのが、調布の「ハナビリュージョン」でした。
この芸術性と、花火の可能性を拡張した革新性こそが、「伝統」と「スケール」に並び立つ第三の価値であると、Mitorieは考えます。
結論:Mitorieが再定義する関東三大花火大会
以上の考察を経て、Mitorieは、調布“夏”花火を「第三の関東三大花火」として、ここに宣言します。
Mitorie選定・関東三大花火 | 象徴する価値 | 特徴 |
隅田川花火大会 | 伝統 | 日本最古の歴史と格式 |
江戸川区花火大会 | スケール | 首都圏最大級の打ち上げ数 |
調布“夏”花火 | 芸術性・革新性 | 音楽と花火の完全融合「ハナビリュージョン」 |
伝統を知り、スケールに圧倒され、そして新しい芸術性に感動する。この三つを巡ることで、私たちは関東の花火文化の奥深さを、より立体的に体験できるはずです。